「ちびっこぷれす~山梨県子育て応援誌~」に記事掲載

「ちびっこぷれす~山梨県子育て応援誌~(2011年6月号)」に
女性の健康に関するインタビュー記事が掲載されました。
ウィメンズヘルス ~私が私であるために~
今年1月、大月駅前に「椎枝子おおつきクリニック」を開いた医師・武者椎枝子さん。
「女性の体をトータルで診たい」と、産婦人科医の道に進んだ彼女が今、自分のクリニックに託する想いとは?そして2児の母でもある彼女が、ママの健康について感じていることは…
ちょっとピルをもらいに
編集部 今年開院した「椎枝子おおつきクリニック」ですが、どんなクリニックにしたいと思って始めたんですか?
武者 女性が健康でないと家庭も社会も元気でいられない。なのでまずは女性を元気にしようという考えです。それには女性の体をトータルに診なければならない。生育歴や家庭環境、職場の環境も知らないと女性の体はわかりませんから。
編 同じ女性が診るということで、敷居も低いですか?
武者 婦人科に行ってもデリケートな部分のことなので、男性のドクターに本当のことを言えない。やっとの思いで行った病院で「異常ありません」と簡単にあしらわれてしまう。そういうケースもありますが、男性でもわかってくれる医師はいるので、「女性だから…」と一概には言えません。
私は、18歳を過ぎたアメリカの女子高生が「ちょっとピルをもらいに行ってくる」と気軽に通っているような、そんな場所を作りたかったんです。ここは安全な空間で、秘密は絶対外に漏れないことをわかってもらうのも大事です。今はピルをもらいに来る人もいるし、爪の水虫で来てもいいし、予防接種も禁煙外来もやるし、ただ話を聞いてもらいに来てもいい。何でも屋ですね。
編 症状によっては他の病院を紹介することもあります?
武者 「この病院のこの先生は一見怖そうだけど、やさしいよ」って感じで紹介するようにしています。
自分を大切にして
編 子育て中のママも定期的にがん検診などを受けた方がいいんですよね。
武者 もちろんです。今は子宮がんの検診に自治体から補助が出るので、それで初めて婦人科に来る人もいます。
編 みなさんどんな感じですか?
武者 来てみたら「なーんだ」という感じで、もっと気軽に来ていいんだと思ってくれているようです。外陰部がかゆかったのを我慢していた方が、そのことを打ち明けてくれて、「そういう時はガマンしなくて来ていいんだ」と帰ったケースもありました。
編 やっぱり恥ずかしいから、なかなか病院に行けないですよね。
武者 私がここでくり返し言うのは「自分を大切にして」っていうこと。女性は不調や疲れを歳のせいにしてがんばっちゃうことが多いけど、体のサインを見逃さないでほしい。不正出血でも、問題ない出血なのか、がんによる出血なのかはちゃんと診察しないとわからないです。
編 よく話題になる乳がん検診は?
武者 ここは触診だけです。基本的にはマンモグラフィーも受けてもらいたいですね。セルフチェックの方法を教えて、「生理の後にはおっばいを触ってみましょうね」ということはよく言いますよ。
編 他に定期的にチェックしておきたいものは?
武者 卵巣がんの検診。そして最低でも鉄欠乏がないか、コレステロールが下がりすぎてないかのチェックはしてほしい。
編 鉄欠乏って?
武者 生理のある女性は鉄不足になりやすいのですが、山梨の人は特にひどいです。蛋白質も足りない。うどんやご飯などの炭水化物、糖質ばかりを多く摂取してしまいがちです。
不定愁訴の原因は栄養不足?
編 鉄欠乏などのチェックはどうやるのですか?
武者 採血と採尿で検査します。70項目くらいの検査で栄養状態を解析して、足りない栄養は良質なサプリメントで補う。これが「分子整合栄養医学」という考え方に基づく栄養療法で、山梨でやっているのは私だけです。
編 人間ドックのような感覚で受けてもいいんですか?
武者 そうですね。だるい、冷える、眠れないなどのいわゆる不定愁訴で来られた方に、「とりあえず採血してみる?」と勧めることもあります。不定愁訴の原因はホルモンの変化と言われてきましたが、栄養の不足や偏りがその背景にあることもありますから。
編 栄養というアプローチでいくと、不定愁訴が「なんだかよくわからないもの」ではなくなってしまいますね。
武者 データでばっちり出ますからね。例えば、うつで来院された方に「前向きになりましょうね」と言っても、言葉は頭の上を通り過ぎるだけ。そこに「あなたはどタミンBが不足しています」と言ってデータを示してあげると、治療や食生活の改善に前向きになれる。「私、疲れたって言っていいんですね」と、気持ちを切り替えられた人もいました。
編 この時代に栄養不足って、意外な気もしますが。
武者 ダイエットをしていて肉を食べずに運動をする人がいますが、蛋白質が足りないまま運動しても、蛋白の貯蔵庫である筋肉が削られて疲労物質がたまるだけ。で、手っ取り早く元気になろうとして甘いものやアルコールをとると、余計な糖分が蓄積されて逆に太ってしまう。コレステロールも悪者にされがちですが、少ないと細胞膜が作れないので、がんや不妊症になりやすくなります。
編 色々な誤解がありますね。
武者 栄養療法の考え方が広がると、不定愁訴の治療法も変わると思います。
編 対処法はサプリメントなんですか?
武者 サプリメントだけでなく、食生活を変えることも提案します。鉄欠乏に関しては、失う血液も少なくするために低用量ピルを出すこともあります。ピルは生理の量を減らしてくれるので。
編 ピルを避妊以外の目的で使うの?
武者 ドイツでは性成熟期の女性の半分が飲んでいて、避妊目的以外の方が多いです。ピルは生理を順調にしたり、生理痛を減らしたりするので、女性の生活の質を上げる一つの手だてなんです。抵抗感が強い人には強要しませんが…。私は漢方もよく使いますが、色々なことを取り入れて、最終的に女性が元気になってもらえればそれでいいと思ってます。
いい子じゃなくてもいいから
編 子育て中のママを見ていて思うことはありますか?
武者 身を削って一人で子育てしている人が多い。パパに頼れればいいんですけど、イクメンがもてはやされている一方で「誰のおかげでメシが食えるんだ」と、言葉の暴力を振るうような人もまだ多いです。これってDVですよ。女性は「ダメだダメだ」と厳しく育てられることが多いので、ちょっとしたことで「私ってダメなんだ。価値がないんだ」となってしまいがちです。
編 そんな時はどうすればいいですか?
武者 どこにも行けない時は私のところに来てもらえればいい。私ができることは、女性を元気にすることですから。
編 ここに来た女性には、どんな人生を歩んでいってもらいたいですか?
武者 その人本来の姿になってもらいたい。自分を否定しないで、私は私でいい、いい子じやなくてもいいから、他人に指図されずに自分の人生を生きていいんだ。そう思ってもらいたいんです。
おしらせ
- 書籍出版
「自分の体にもっとやさしく
:なんだか疲れて、悲しく、虚しい女性たちへ」を出版いたしました。
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